種別 論文
主題 硬化セメントペーストのスケーリング劣化に及ぼすCMAの影響
副題
筆頭著者 藤井卓(函館工業高等専門学校)
連名者1 藤田嘉夫(北海道大学工学部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 543
末尾ページ 548
年度 1987
要旨 1.まえがき
近年、積雪寒冷地の道路等においては、路面の凝結防止あるいは融氷雪の目的で融氷剤の散布が行われている。特に最近では粉塵対策の面から脱スパイクタイヤが強く要請され、このため安全確保の点からNaCl、CaCl2、MgCl2などの融氷塩のせ用が増大する趨勢にある。融氷塩などの塩分環境において凍結融解作用をうけるコンクリートの早期劣化は極めて著しく、また下水処理、植生への影響などコンクリート以外における被害の可能性も憂慮されている。したがって低害あるいは無害融氷剤の開発がさし迫った重要課題として提起されており、最近、米国において無塩害融氷剤としてカルシウム・マグネシウム・アセテート(CMA)が開発された。
CMAの開発については、米国FHWAのTurner-Fairbank道路研究所におけるMarynowskiら[1]の研究成果があり、また各種の影響評価については、Hsu[2]、Ernstら[3]などの現場試験の成果がある。しかし、いずれも融氷効果、摩擦抵抗、貯蔵性能など、主として施工面からのマクロなアプローチであり、コンクリートヘの影響についてはまだ充分な検討がなされていない。
本研究は、凍結融解作用をうけるコンクリートのスケーリング劣化に及ほすCMAの影響を明らかにすることを目的に、スケーリング劣化を微構造変化との関連において検討したものである。すなわち、CMA、KCl系融氷剤およびはNaClの各溶液中においてマトリックスとしての硬化セメントペーストに凍結融解作用を与え、CMA溶液の場合のスケーリング劣化に及ぼすセメントの種類、溶液濃度、AE剤混入の有無などの影響を、走査型電子顕微鏡による微構造変化の視覚的観察およびエネルギ分散型X線マイクロアナライザによる元素分析などの結果を基に、他の融氷剤との比較において検討したものである。

4.まとめ
凍結融解作用をうける硬化セメントペーストのスケーリング劣化に及ばすカルシウム・マグネシウム・アセテート(CMA)の影響について、主として走査型電子顕微鏡観察による微構造変化の観点から検討した。無塩害融氷剤として注目されているCMAではあるが、コンクリートのスケーリング劣化の観点からは必ずしも望ましい結果は得られなかった。普通ポルトランドセメントの場合では、NaClよりも劣化が大きく、また混合セメントの場合もNaClより大きいかあるいは同程度であった。本研究の結果をまとめると以下のようである。
(1)普通ポルトランドセメントのAEの場合、CMAの劣化が最大であり、KCl系融氷剤(SWN)はNaClに近いがやや劣化が小さい。
(2)CMAの場合、表層部の緻密化が不充分であるが、一般に表層部が緻密化しているものほど劣化が小さい。これはCaCl2、MgCl2などの塩化物の場合と同様である。
(3)AEの場合でも混合セメントでは普通ボルトランドに比べて、CMA、SWN、NaClいずれの溶液においても劣化は著しい。CMAおよびSWNではフライアッシユセメントの場合の劣化が特に著しい。
(4)CMA、SWNの場合でもNaCl、CaCl2、MgCl2などの塩化物の場合と同様に低濃度において劣化が大きく、高濃度においては劣化が小さい。
(5)CMAの20%の高濃度においては、表層付近の空隙が新たな生成物によって充填され、緻密層を形成する。
PDFファイル名 009-01-1097.pdf


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