種別 | 論文 |
主題 | コンクリート構造物の経年変化推定のための劣化要因の検討と考察 |
副題 | |
筆頭著者 | 桜井宏(北見工業大学) |
連名者1 | 鮎田耕一(北見工業大学) |
連名者2 | 鈴木明人(大成建設技術研究所) |
連名者3 | 百崎和博(大成建設技術研究所) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 1 |
先頭ページ | 549 |
末尾ページ | 554 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1. はじめに 筆者らは、耐久性を考慮した設計を行なうための耐久性評価手法の研究を行なった1),2)。この際問題となった点は、第一に劣化の要因をいかに整理及び検討し劣化現象を適切にモデル化するかということ、第二に劣化をいかにグレーディングするかということ、第三に構造物の性能低下を総合評価するためにいかに各劣化の項目の重み付けを行なうかということである。 劣化現象のモデル式化については、中性化深さの算定値が実構造物で測定されたものより低めに算出されること。鉄筋腐食率も同様に低く算出されていること。また凍害による動弾性係数の低下及びそれに伴う強度低下率が大きめに算出されるため。これらの室内試験の結果等からの劣化現象のモデル式を実際の構造物のものと近づける必要がある。 グレーディングに関しては、客観的な基準が必要であり、これらが建設省の総合プロジェクト等で指針として示されるに至った3)。しかし、特に凍害や表面劣化などのグレーディングにおいて全体に占める面積的な割合の判定が難しいこと。さらに総合的な劣化度の算出にも、建物の劣化程度を決める際に、個人による判断の差が出るところがあるため算出される総合劣化度に幅が出る可能性があるなど今後検討すべき点がある。従ってグレーディングは劣化現象を数値化した指標に対応させ、また数式等も定義する必要性もある。しかし、これらは今後も各研究機関でより客観的なものになるために検討される必要がある。 また、各劣化の評価項目は種々の劣化現象が重なり合っているため、これらの関係を整理し明らかにするためF.T.A.(Fault Tree Analysis;故障の木解析)を行ないこれらをさらに推移行列等に整理して4)これらより各性能に関する各劣化現象の与える影響の重みを算出する手法を検討する必要がある。 本研究では特に、劣化の要因を整理及び検討し劣化の推移のモデル化の検討及び構造物の性能に対する各劣化現象の重み付けの手法の検討及び考察を行なう。さらに例として算出した重みを用いて実際の構造物のデーターを適用し構造物の経年変化をシミュレーションし実際の構造物の劣化を比較及び検討するものである。 4.まとめ 本研究より以下の点が明らかになった。 (1)コンクリートの劣化をF.T.A.(故障の木解析)することによりコンクリ−ト構造物の劣化を系統化し整理することが可能である。 (2)コンクリートの劣化のF.T.A.を簡単な形に仮定すると劣化の進行を推移行列化して整理することができる。 (3)劣化の推移行列から構造物の性能に影響を与える劣化現象の重みを算出する際の目安が得られる。 (4)今後の課題としては、構造物の性能を明確に定義して性能関数として表現し、これらと劣化現象の関係を整理及び検討し、構造物の劣化を性能の経時変化として定量的に表わす研究が必要である。 |
PDFファイル名 | 009-01-1098.pdf |