種別 | 論文 |
主題 | 新試験装置によるコンクリートの断熱湿度上昇量 |
副題 | |
筆頭著者 | 佐藤利幸(住友セメント技術開発センター) |
連名者1 | 鈴木康範(住友セメント技術開発センター) |
連名者2 | 原田修輔(住友セメント技術開発センター) |
連名者3 | 横田紀男(住友セメント技術開発センター) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 2 |
先頭ページ | 1 |
末尾ページ | 6 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1.まえがき 昭和61年に制定された土木学会のRC示方書およびJCIの「マスコンクリートのひびわれ制御指針」(以下、単にJCI指針と称する)では、マスコンクリート構造物におけるセメントの水和熟に起因する温度ひびわれおよび温度応力の検討方法についての一般の標準が示された[1,2]。これらに規定されているように、マスコンクリート構造物の温度上昇量を推定する場合には、コンクリートの発熱量として断熱温度上昇量が用いられる。この断熱温度上昇量に関するデータの多くは、統一的な試験方法に基づいて得られたものではない。試験装置としても、数種類のものが使用されており、試験装置によってさまざまな値を示すことが指摘されてきた[3]。 著書らは先に、大型のマスブロック打設実験およびFEM解析により、従来の試験装置に比べて精度良く断熱温度上昇量を測定できる新しい試験装置を考案した[4]。本研究は、この新試験装置を用いて、コンクリートの断熱温度上昇量を測定し、RC示方書およびJCI指針の標準値と比較検討したものである。 5.結論 新試験装置によりコンクリートの断熱温度上昇試験を行い、Q(t)=Q∞(1-e-rt)によって近似し、Q∞とrについてRC示方書による値と比較検討した。本実験の範囲から以下の知見が得られた。 (l)セメントの銘柄によって、断熱温度上昇量はある程度のばらつきを示す。Q∞の平均値と標準偏差は、それぞれ49.59および1.802、rについては、0.912および0.110であった。Q∞の最大値と最小値との差は5.88で、rについては0.427であった。しかし、Q∞の平均値とRC示方書の標準値を比べるとおよそ9.5℃、また、Q∞の最小値と比べてもおよそ6.5℃実験値のほうが高い値となった。従って、RC示方書に示されたQ∞はセメントのバラツキ範囲内にあるとは言い難い。一方、rについては、RC示方書の標準値は、実験値とほぼ同じ値となった。 (2)本実験によって得られたQ∞は、RC示方書の標準値に比べて、セメントの種類にかかわらず、いずれの打込み温度のときにも大きくなった。各種セメントについて実験値のRC示方書に対する比率を求めてみると、打込み温度、単位セメント量によっても異なるが、大略2割程度大きくなっている。 (3)rと単位セメント量の関係を、実験値および示方書についてそれぞれ求めてみると、その傾向はセメントの種類によってかなり異なっている。ポルトランドセメントでは、OPCを用いて打込み温度が高い場合および単位セメント量が多い場合を除いて、比較的良く一致している。しかしながら、BCBやFCBなどの混合セメントでは、単位セメント量および打込み温度の増加に伴うrの増加率が実験値と示方書ではかなり異なっている。従って、示方書に基づく混合セメントの温度上昇速度には大きな誤差が生ずるおそれがある。 |
PDFファイル名 | 009-01-2001.pdf |