種別 | 論文 |
主題 | FRPで補強したコンクリートはりの曲げ疲労性状 |
副題 | |
筆頭著者 | 小沢一雅(東京大学工学部) |
連名者1 | 関島謙蔵(清水建設技術開発部) |
連名者2 | 岡村甫(東京大学工学部) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 2 |
先頭ページ | 269 |
末尾ページ | 274 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1.はじめに 近年、コンクリート中の鋼材の腐食によるコンクリート構造物の劣化が問題となっている。これを抜本的に解決するために、鋼材の代わりに耐食性、耐薬品性に優れたFRP(Fiber Reinforced Plastics)筋をコンクリート補強材に使用する方法が開発された[1,2]。このFRP筋は、(1)各種の連続繊維をハイブリッド化することによって、応力-ひずみ関係を任意に設定できるが、一般に鉄筋よりも弾性係数が小さい、(2)素材自体の付着は小さいけれども、格子状に成形することによって交差部でコンクリートとの付着を確保している、等の特徴を持っている。また、FRPの疲労特性は金属などの均質材料とは異なるとの報告もあり[3]、橋梁床版のように自動車荷重等の繰り返し荷重を受けるコンクリート部材にFRP筋を補強材として使用するためには、静的特性だけでなく、その疲労特性も把握しておく必要がある。 そこで、スターラップにもFRP筋を使用し、主筋とともに3次元構造に一体成形した立体格子型のFRP筋を鉄筋の代わりに補強材として用いたコンクリートはりの静的曲げ試験および疲労試験を行い、FRP筋の材料特性がはりの疲労特性に及ぼす影響について検討した。 5.結論 本研究の結果から得られた結論をまとめると以下のようになる。 (1)FRP筋自体の付着は小さいけれども、主筋とスターラップの交差部でコンクリートとの付着を確保しているので、従来の鉄筋コンクリートの曲げ理論が適用できる。 (2)曲げひびわれはほとんどがスターラップに沿って生じ、ひびわれ幅は主筋の位置ではスターラップ間隔の2倍の長さの主筋ののび量にほぼ等しい。また、FRP筋の弾性係数が小さいため、異形鉄筋に比べるとひびわれ幅が大きくなる。 (3)上記と同様にFRP筋は弾性係数が小さいので、曲げひびわれ発生後に中立軸がかなり上昇し、曲げ剛性が低下し、たわみが大きくなる。 (4)静的載荷および繰り返し載荷によってFRP筋が破断する場合は、断面急変による応力集中により主筋とスターラップの交差部で破断が生じた。 (5)FRP筋の疲労強度は、等しい引張耐力を持つ等価な異形鉄筋の疲労強度と同等以上の結果を示した。しかし、今後はスターラップの間隔やガラス繊維と炭素繊維の配合比等をパラメータとして、さらにデータの蓄積を行う必要がある。 |
PDFファイル名 | 009-01-2046.pdf |