種別 | 論文 |
主題 | 高強度PCくいの曲げ靭性設計 |
副題 | |
筆頭著者 | 六車照(京都大学工学部) |
連名者1 | 渡辺史夫(京都大学工学部) |
連名者2 | 西山峰広(京都大学工学部) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 2 |
先頭ページ | 465 |
末尾ページ | 470 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1.まえがき 地震による基礎くいの破壊がわが国ばかりでなく諸外国でも報告されており[1-6]、くい基礎の耐震設計のあり方ばかりでなく、くいそのものの性能改善の必要性も指摘されている。PCくいそのものの耐震性能向上の基本となるのは、せん断強度の向上、曲げ破壊強度の向上および曲げ靭性の確保の3点である。このうち、せん断破壊強度の向上については、降伏強度が少なくとも60−80kgf/mm2の高強度せん断補強筋を使用して適切な補強を行えば、せん断破壊をほぼ完全に防止出来ることが、筆者らの実験的および理論的研究によって実証されている[7,8]。曲げ破壊強度の向上については、太径くいの使用、プレストレスの大きいC種またはこれ以上のくいの使用など、設計応力を上回る強度のくいを選定することによって対処出来る。一方、曲げ靭性に関しては、PCくいは曲げ破壊といえども破壊直前の塑性変形が殆ど認められない脆性的破壊様相を示す。曲げ靭性に富む部材に改善する方策の一つに横拘束コンクリートの使用があり、筆者らは、高強度PCくいにこれを応用し、かつ、高一様伸びPC鋼棒との併用により、著しい塑性曲げ変杉能力を持つPCくいに改善出来ることを示した[9-11]。本研究は筆者らの横拘束コンクリートおよびPCくいの靭性改善に関する既往の研究成果にもとずき、PC鋼棒破断による曲げ破壊をおこさない範囲で、必要なPCくい断面曲率靭性を付与するための横拘束筋の設計の具体的方法について述べたものである。 5.結語 本研究では横拘束によるコンクリートの圧縮限界ひずみの改善、および、これをPCくいに適用して著しい塑性曲げ変形能力を付与出来ることを実証した筆者らの既往の研究成果にもとずき、PCくいの曲率靭性設計の具体的方法を提案し、併せて靭性設計図表とこれの使用方法について述べた。設計の基礎となる曲率靭性率の設定については、今後の研究にまたなければならないが、実用的見地からは靭性率3程度を当面の設計に適用すれば、従来慣用の無拘束PCくいと比較してエネルギー吸収能力でおよそ5倍に改善されることになり、著しい耐震安全性の改善が期待できるものと判断される。 |
PDFファイル名 | 009-01-2080.pdf |