種別 論文
主題 高強度グラウトを利用したPC鋼より線埋込み定着部の力学性能試験
副題
筆頭著者 岡田克也(竹中工務店技術研究所)
連名者1 持田哲雄(竹中工務店技術研究所)
連名者2 柿沢忠弘(竹中工務店技術研究所)
連名者3 尾高英雄(黒沢建設技術部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 507
末尾ページ 512
年度 1987
要旨 1.まえがき
プレストレストコンクリート(PC)は動的および繰り返し荷重のもとで長期的にすぐれた性能をもっており、これを利用することで大水深の海洋構造物の出現が可能になり、かつ海洋の安全で効率的な開発が実現したと言っても過言ではない。現在、建造される海洋構造物は、ほとんどが大きく、かつ複雑な構造物であり、そこに適用するプレストレス鋼材の配置も複雑とならざるをえない。その際、構造物の外穀部、柱および壁をPC工法で施工する場合に、従来のように縦方向でプレストレス導入にPC鋼より線(ストランド)を用いようとすると、下端での定着作業用のスペースを確保することが非常に困難な場合が多い。そこで、このような施工上の問題を解決するために、シースと埋込み定着体を予めコンクリート中に埋めこんでおき、後からストランドを挿入して埋込み定着体にグラウトで固化し、縦方向のプレストレス導入を容易でかつ経済的に行なう新工法として「後入れ縦方向PCストランドの埋込み定着工法」が考えられる。
この新工法では、埋込み定着部の鋼製容器(定着ボトル)内で最短の長さで、いかに確実にストランドを定着でき、かつ、その定着ボトルがコンクリート部材中で安全な埋込み定着具となるかが重要であり、そのためにボトル内に注入する高強度グラウトの性状、ストランド先端の処理、定着ボトルの形状などの定着性能に関する要因の検討が必要である。
本論文では、それらの要因について定着部の力学性能試験を行なった結果を報告する。

5.結論
PC定着の新工法である「後入れ縦方向PCストランドの埋込み定着工法」の基礎的な性状を調べるために行なった、高強度グラウトの支圧実験、ならびに圧着グリップのグラウトによる定着性能実験を通じて以下のような知見が得られた。
(1)圧縮強度はグラウトD、M、T(H)の順に高いが、グリップのめり込みは、グラウトM、D、T(H)の順に小さい。
(2)グラウトDとMは硬化収縮が大きく、グラウトはボトル内壁より剥離している。
(3)空気量を減らしても、グリップのめり込みを小さくすることは出来ない。
(4)グリップ径が大きいほど、めり込みは小さいが、この傾向は径が30mmをこえると顕著でなくなる。
(5)ボトル内のグラウトはグリップ下方斜め45°のすべり面を形成し、せん断破壊する。
(6)ボトルが長いとグリップのめりこみは小さいが、これはストランドとグラウトの付着長さが異なることが原因である。
(7)ストランドの本数が多いと、グリップの支圧応力度に対するグリップのめりこみは大きく、かつボトルのひずみも大きくなるので、肉厚についての検討が必要である。
(8)グリップの支圧応力とストライドの付着応力の累加により、定着性能を一応評価できる。
以上、高強度タラウトと圧着クリップ忙ついては基本的な性状が解明できたので、今後は長期載荷時のストランドの定着性能を調べ、ならびにクリップのめりこみを小さくするボトルの形状等を検討してゆく予定である。
PDFファイル名 009-01-2087.pdf


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