種別 | 論文 |
主題 | 突起付きH形鋼を用いた合成桁の疲労特性 |
副題 | |
筆頭著者 | 大竹章夫(住友金属工業総合技術研究所) |
連名者1 | 高田啓一(住友金属工業総合技術研究所) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 2 |
先頭ページ | 519 |
末尾ページ | 524 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1.まえがき 合成桁は、鋼とコンクリートとの両素材特性をうまく組合せ利用した構造で、今後とも多く用いられる工法である。合成桁での鋼とコンクリートの一体化には、その施工の容易さから、スタッドコネクタを使用するのが一般的で、既にその工法が世界的に定着した感があるが、この工法の問題点が全て解決されたわけではない[1]。例えば、スタッドの崩壊機構として、いわゆるK. Roikモデルが広く知られているが[2]、使用状態でも類似の耐荷機構になっているとすれば、鋼桁と床版との間に相対ずれが生ずることにより初めてスタッド側面にコンクリートから大きな支圧力が作用しシア伝達が可能となる。すなわち、スタッド工法では、ずれ変位を前提とせざるを得ず、このため、わが国の道路橋示方書のように、ずれによる合成効果の損失が大きくならないとの観点から別途許容耐力を定める必要がある[3]。そもそも、スタッドはせん断変形に対して柔らかで高い靭性を示すが、この柔らかさと合成効果の確保とは相矛盾するものであり、この意味では、スタッドの特性を充分に活かしきってるとは言えない。 この研究は以上の観点より鋼とコンクリートのより優れた継手形式を見い出そうとして行っているもので、フランジ表面に突起を有するH形鋼(以下、縞付H形鋼と呼ぶ)にスタッドコネクタを併用し、スタッドの変形能特性を生かしながら低荷重域での大きなずれ変位を抑えることを狙いとしている。未だ基礎研究段暗であるが、押抜き及び桁試験を行い新しい考え方の合成桁の出現の可能性が期待できると考えられる結果が得られているので報告する。 5.むすび 以上、合成桁の鋼とコンクリートとの接合部位での性能向上を目的として、表面に突起を付けた形鋼を用いた場合の疲労特性を調べた実験を報告した。結果は、従来のスタッド工法で一つの問題であった、低荷重域でのずれ変位の増大が大幅に改善され、継手疲労強度の向上が計れることを示している。この性能を活かせば、従来工法に存在した最大耐力と使用限界耐力との間の大きなギャップを少なからず縮めることが可能であり、例えば、静的耐力と疲労耐力とを分けて考えて、おのおのの限界状態を想定した、経済設計につながる可能性もある。また、鋼板とコンクリートの複合構造においても、本実験と同様のことが言えそうであることは想像に難くない。 本論は、コンクリートスラブが圧縮状態にある場合を対象にして、単純なモデル試験により、その特性を概括したものである。実用に供するまでには、より現実的な条件下で種々の検討を重ねて行く必要があるが、他の応力条件下での応用展開も含め、複合技術開発の基本要素の一つと考え育てて行きたい。 |
PDFファイル名 | 009-01-2089.pdf |