種別 論文
主題 合成構造における鋼・コンクリート間のせん断伝達機構
副題
筆頭著者 竹内浩一(石川島播磨重工業)
連名者1 加藤浩司(東京大学学生)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
9
2
先頭ページ 537
末尾ページ 542
年度 1987
要旨 1.まえがき
鋼板とコンクリートを用いた合成構造は、耐荷性能の向上、軽量化、止水性の確保、施工の迅速化などの観点から注目されつつある。経済的な利点として、施工時に型枠として使用した鋼板を、完成後は強度部材として使用できるという点が上げられる。鋼板を型枠として使用する場合、鋼板には強度と剛性が必要であるため、鋼板には適度な補剛材(リブ等)が設けられる。このリアが完成後の鋼板とコンクリートとのずれ止めとして有効に働けば、より経済的な構造となる。
鋼板とコンクリートのずれ止めとしてリブを用いた場合、鋼板とコンクリートとの力の伝達はリブのみを介して行われ、コンクリートのひびわれの大半はリブの取り付け位置から発生する。一方、リブの形状・配置は、鋼殻の制作上、あるいは施工荷重に対する鋼殻強度等から決定され、条件によってはスパン内にリブが設けられない場合も有り得る。ディープビームのようなせん断スパンの小さな部材では支間内のリブの有無は部材の挙動に大きな影響を及ぼさないことが、既往の研究1)で示されているが、リブの形状や配置によって、ひびわれのパターンは異なるため、せん断スパン比の大きな部材においては、部材の挙動、耐力も異なってくるものと思われる。
筆者らは、リブの形状・配置をパラメータとしたa/d=3.5の合成梁の曲げせん断試験を行い、リブ形状あるいは配置が鋼とコンクリートとのせん断伝達、部材の挙動に及ぼす影響について考察した結果を報告する。

5.まとめ
鋼板に設けたリブによりコンクリートと鋼板とを合成させた合成梁の曲げせん断試験を行い、本研究の範囲で得られた結論は以下のとおりである。
(1)合成部材のたわみは、鉄筋コンクリートの梁理論による計算値を、リブ間隔によって修正することにより得られる。
(2)リブにフランジを設けないと、リブ先端からのひびわれは鉛直に伸展し易く、このひびわれが斜めひびわれを誘発して斜め引張破壊を発生し易くする可能性がある。
(3)リブにフランジを設けると、リブ先端からのひびわれ角度は小さく、ほぼ水平方向に伸展し、リブのずれ止め効果は低減する。この場合、リブ間隔が小さいと水平ひびわれは互いに連結することにより、部材の耐力を決定する。
(4)リブを鉄筋コンクリートの斜めひびわれ発生位置付近に配置すると、その位置のリブから斜めひびわれを発生し易く、部材は斜め引張破壊を起こす。この場合、せん断耐力は鉄筋コンクリートのせん断耐力よりも小さい。
(5)一方、リブの取り付け位置を鉄筋コンクリートの斜めひびわれ発生位置からずらすと斜めひびわれは発生しにくく、支点上にリブを設けることにより、部材内の応力はアーチ的な流れとなり、異形鉄筋を用いた鉄筋コンクリートに比較し、せん断耐力は大きくなる。
PDFファイル名 009-01-2092.pdf


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