種別 論文
主題 多数本の鉄筋を用いた鉄筋コンクリート梁の疲労破壊に関する研究
副題
筆頭著者 宮本征夫(鉄道総合技術研究所・前国鉄構設)
連名者1 石橋忠良(東日本旅客鉄道株式会社・前国鉄構設)
連名者2 林淳(日本鉄道建設公団・前国鉄構設)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 639
末尾ページ 644
年度 1987
要旨 1.はじめに
老朽化した鉄筋コンクリート構造物の補強、取替え等の判断を下す際には、耐力、ひびわれ、疲労等の項目について評価を行なわなければならない。中でも疲労については、構造物の補強、取替えの時期を明確に判定する方法が、いまだ確立されていない。過去に鉄道の鉄筋コンクリート構造物か列車荷重による疲労で破壊した例は起きていないが、東海道新幹線の鉄筋コンクリート桁等の構造物が今後疲労の耐用年限に近づくに従い、早晩、繰返し荷重が構造物に及ぼす影響が問題になることと考えられる。そのため、構造物の保守管理を的確に行ってゆくためには、疲労により鉄筋コンクリート構造物が破壊に至る兆侯を手前に発見し、早期に対策を施す必要が生じるものと考えられる。
今までに鉄筋コンクリート部材としての疲労試験は、鉄筋を1〜3本程度配置した供試体に関する報告か多く、多数本の鉄筋を配置した供試体についての報告がほとんどなされていない。そのため、多数本の鉄筋が配置されている実構造物が、疲労荷重により一度に破壊に至るのか、それとも鉄筋が順次破断して段階的に破壊するのか確かめられておらず興味深い問題である。そこで、ここでは多数本の鉄筋を配置した供試体を製作し、疲労による鉄筋コンクリート構造物のひびわれ、たわみの状況および破壊時の状況について、実験により確認した結果を述べる。

4.まとめ
今回の実験および考察から、明らかになった主な点について以下に述べる。
(1)多数本の鉄筋を配置した梁の疲労による破壊は、破壊の前兆無しに一定に生じるのではなく鉄筋の破断が段階的に進むことによるたわみ量の増大、鉄筋の破断面直下のひびわれ幅の増大等の現象が見られたのちに生じる。
(2)疲労による鉄筋の破断で生じる梁のひびわれは、鉄筋の破断面の直下に1〜2本の幅の大きなひびわれか生じるという特徴を持つ。
(3)鉄筋の破断は、ほぼ同一断面に生じる。
(4)実験で得られた供試体の破壊時の載荷回数は、土木学会コンクリート標準示方書中の(3.3.2)式で得られる値とほぼ同等の値であった。
(5)(1)、(2)より疲労の耐用年限に近づいた鉄筋コンクリート構造物の保守管理においては、疲労による変状を発見した後に早急にその処置を考えれば、桁の落下等の大事故は事前に防ぐことができるものと考えられる。
PDFファイル名 009-01-2110.pdf


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