種別 | 論文 |
主題 | チャート質骨材の微細構造とモルタルバー膨張挙動 |
副題 | |
筆頭著者 | 森野奎二(愛知工業大学) |
連名者1 | 岩月栄治 (愛知工業大学) |
連名者2 | 後藤鉱蔵(愛知工業大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 717 |
末尾ページ | 722 |
年度 | 1988 |
要旨 | まえがき アルカリ骨材反応によるコンクリートの膨張挙動は、アルカリ量と水分が同じ場合には、骨材に含まれる反応性鉱物の種類と含有量に支配される。通常、骨材として使用している岩石には岩種毎に一定の鉱物組合せの系列が見られる。例えば安山岩では、火山ガラス-クリストバライト-トリジマイトの鉱物、チャートでは、潜晶質石英-玉髄質石英-歪んだ石英-非晶質シリカ(オパール)の鉱物が、それぞれの系列で2種以上の組合せで観察される。これら各反応性鉱物の含有量は、同じ岩種であっても産出地や採取位置によって異なっている。従って、モルタルおよびコンクリートの膨張挙動を正確に把握するためには、骨材岩種別・産出地域別に検討する必要がある。しかし、骨材の産出状態は多様であるから、一岩種に限っても試験数は膨大となり、全体を把握するのは容易でない。わが国で、被害事例が多く、最もよく調べられている安山岩においても、研究に使われた岩石の産出地域は限られている。安山岩よりも被害の発見が遅れたチャートについては、外国では多くの研究がなされているが、わが国では少ない。そこで筆者らはチャートについて検討し、膨張速度が早くペシマム現象もみられる反応性の高い砕石チャートやコンクリート骨材として使われている山砂利チャートを選び、岩石内部の微視的性質、化学方による溶解シリカ量、種々のアルカリ条件下でのモルタルバー膨張率などを調べ、チャートの反応性も造岩鉱物種の多い岩石と同じように多様であることを示した。チャートは、地質の中・古生層を構成する代表的な岩石であるため、わが国の各地に広く分布しており、砂利や砂にはしばしば含まれている。チャートは、造岩鉱物としては石英だけであり、石英の結晶粒度は粗粒から細粒まであるが、大部分が細粒の微小石英からなり、岩石全体が反応性鉱物で出来ていると言えるものである。このように本質的に反応性が高く、また混入する機会も多いチャートに関しては、劣化構造物の調査などにおいても注目すべきであると思われる。 まとめ 3箇所から採取した砕石および砂利チャートのアルカリ反応性を偏光顕微鏡、化学法、モルタルバー法などによって調べた結果は次のようである。 1.使用したチャートは、すべて色彩の豊富な放散虫チャートであり、化石のほとんどが球顆状玉髄で置換されている。その他脈状の玉髄も多く含む。潜晶質石英や石英脈を当然含むが玉髄で特徴づけられるチャートである。玉髄は偏光顕微鏡下で繊維状に波動消光を示す。2.チャートの造岩鉱物は石英だけであるが、種々の微小石英や不純物が含まれその微細構造は単純ではなく、アルカリ反応性は多様である。3.チャートに非反応性骨材を混合したモルタルの膨張率が混合しないものより大きくなるペシマム現象が見られる。その混合比は、材令、アルカリ量、温度によって変化し、一定の数値には定まらない。4.採石場内のチャートについて、その色を目安にして細分し、上記の各種試験を行った結果、色別で違いが見られた。採取地域が異なると色の対応は見られないので、色そのものに意味がある訳ではないが、同一地域内の採取位置の相違による反応性の変化の程度が明らかになった。 |
PDFファイル名 | 010-01-1128.pdf |