種別 | 論文 |
主題 | 拡張カルマンフィルタによるコンクリート構造物の熱特性値の推定 |
副題 | |
筆頭著者 | 中村秀明(山口大学) |
連名者1 | 浜田純夫(山口大学) |
連名者2 | 田中周次(山口大学大学院) |
連名者3 | 秋本悟志(山口大学大学院) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 1 |
先頭ページ | 1125 |
末尾ページ | 1130 |
年度 | 1992 |
要旨 | まえがき セメントの水和熱に起因する温度応力によってひび割れ発生が予測されるコンクリート構造物については、このひび割れを制御する必要がある。ひび割れを制御するためには、コンクリート構造物の温度分布を推定しなければならず、予測する手段として、近年コンピュータの普及から有限差分法、有限要素法による数値解析法が広く用いられている。しかしながら、このような温度推定の精度は、入力するコンクリートの熱伝導率などの熱特性値によるところが大きい。コンクリートの温度解析に必要な熱特性値としては、発熱特性、熱伝導率、熱伝達率、比熱などであるが、これらの熱特性値は、使用するコンクリートの配合、コンクリートの湿潤状態、温度などによって影響されるものであり、実際の現場において信頼性の高い熱特性値を得ることは、常に可能ではなく、必要に応じて室内での小試料を用いた試験などにより求められるが、試験方法自体定まったものがなく、難しいものであること、試験時のコンクリートの状態などによってデータがかなりばらつくなどの理由から、特別な場合を除いて、既往のデータが用いられている。実際の場(以下現場)の構造物、例えば、ダムなどのマスコンクリートの設計、施工等を行う場合、構造物全体の熱伝導現象を十分考慮する必要があり、これらの熱伝導現象を解析する方法として、一般に有限要素法や有限差分法が用いられるが、その解析手法は、初期条件や境界条件および領域形状などを与えて問題の支配微分方程式を数値的に解くといういわゆる順問題解析である。しかし、その解析手法に用いられる熱特性値によって、あるいはモデル化、境界条件等により熱伝導解析の結果は大きく異なる。そこで実験計測から得られた測定データを補助情報として用い数値解析手法を援用して逆に熱特性値を推定する逆問題解析が注目されている。特に、現場において生ずる熱伝導現象は、非定常熱伝導現象である場合が多く、十分な精度をもった熱伝導現象の解を得るためには、適切なモデル化を行うとともに現場における精度の良い熱特性値が、必要不可欠である。現場における構造物が、不均質成分から構成されたり、あるいは空隙を有したりしているとき、構造物内の全体の領域での水分移動、空気の対流、あるいは熱流方向による伝熱特性の違いの影響によってその熱特性値は異なり、さらに構造物の疲労、亀裂等の影響によってもその値は大きく異なる。また、モデル化に際しても現場での現象を忠実に表すには相当の熟練と経験を必要とする。これらの状況を踏まえ本研究では、現場の領域における簡便な温度測定と拡張カルマンフィルタと有限要素法を組み合わせた非定常熱伝導逆解析手法により直接熱特性値を推定し、その推定された熱特性値を用い、より正確なコンクリート内部の温度予測を行うことを目的とする。 結論 本研究では、拡張カルマンフィルタを用い、現場での温度計測結果からコンクリートの熱伝導率を推定した。推定された熱伝導率は一般的な値よりも少し大きめの値を示しているが、推定された熱伝導率を用いた温度解析では、解析温度は実験値と良く一致した。今後は、最適な観測点配置、有限要素モデル等を検討するとともに、さらに多くの実験計測を行いデータの蓄積を行うつもりである。 |
PDFファイル名 | 014-01-1195.pdf |