種別 | 論文 |
主題 | 段階的積分法によるクリープ解析を導入した斜材張力の最適化 |
副題 | |
筆頭著者 | 石黒如(パシフィックコンサルタンツ) |
連名者1 | 今村晃久(ドーピー建設工業) |
連名者2 | 立神久雄(ドーピー建設工業) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 14 |
号 | 2 |
先頭ページ | 595 |
末尾ページ | 600 |
年度 | 1992 |
要旨 | まえがき 近年、我が国の建設分野においても景観が重視されるようになり、これに伴ってPC斜張橋が飛躍的に増加してきた。PC斜張橋の設計では、主桁PC鋼材によるプレストレスの操作に加え、斜材張力の調整によっても構造各部を適切な応力状態に誘導することができる。しかし、コストの面から見れば斜材にかかる工費は主桁PC鋼材のそれに比べてかなり割高であり、斜材鋼材量の抑制は建設コストの低減に大きく寄与する。そこで、本論文では、部材の断面性能と主桁PC鋼材配置を仮定した場合について、架設時および完成時の各種許容値から定まる制約条件の下で斜材鋼材量が最小となるような斜材張力の組合せを最適値と考え、単一目的線形計画法を用いて斜材張力の最適化を行う方法を提案した。しかし一方で、PC斜張橋は、従来のプレストレストコンクリート橋に比べてはるかに高次の不静定構造である上に、コンクリート製の主桁・主塔と鋼製の斜材から成る複合構造でもあるため、クリープおよび乾燥収縮による断面力の移行量が重要な問題となる。クリープ解析において考慮する必要のある要因としては、次の事項が挙げられる。1)荷重の作用時刻による遅れ弾性歪み係数の違い。2)コンクリート材令による弾性係数、フロー歪み係数、乾燥収縮度の違い。3)鉄筋およびPC鋼材によるコンクリートの変形の拘束。4)クリープ進行中に繰り返し起きる構造系の変化。本論文では、これらの要因を総合的に評価するため、斜材張力最適化の前提となるクリープ解析に鋼材の拘束とコンクリート弾性係数の変化を考慮した段階的積分法を導入した。そして最後に、以上の計算方法を用いてPC斜張橋の斜材張力最適化を行った結果を示した。 まとめ これまでにも、PC斜張橋における斜材張力の最適化についての論文および報告が発表されているが、最適化の前提となるクリープ解析については具体的な説明が省略されているか、或いは近似式を用いていた。本論文は、斜材張力の最適化計算に鋼材の拘束とコンクリート弾性係数の変化を考慮した段階的積分法を導入する方法を具体的に示した点に意義があると考える。また、段階的積分法の各計算ステップにおける各種設計変数の途中経過を用いれば、架設時の制約条件と完成時の制約条件を混在させた最適化も可能であり、実用性にも優れている。さらに、本論文でその値を仮定することとした部材の断面性能および主桁PC鋼材配置を変化させて検討すれば、PC斜張橋としての総合的な最適設計を行うことができる。計算例では、制約条件として架設時および完成時の曲げモーメント、軸力、鉛直変位、コンクリート応力度が混在する場合を示したが、最適値として満足できる結果が得られた。 |
PDFファイル名 | 014-01-2103.pdf |