種別 論文
主題 過飽和塩水浸漬によるモルタルバーのアルカリシリカ反応性試験法
副題
筆頭著者 二村誠二(大阪工業大学)
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キーワード
16
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先頭ページ 1089
末尾ページ 1094
年度 1994
要旨 1.まえがき
 アルカリシリカ反応には、細孔溶液中の水酸化アルカリと骨材中の反応性シリカとの「化学反応」過程と、その反応によって生成されたアルカリシリカゲルの「吸水膨張」過程という2つの過程が存在する。この2つの過程が複雑に影響するため、いくつかの「ペシマム値」が存在することになる。これは骨材に含有される反応性鉱物の質的要因(種類・形態)と量的要因(含有量・構成割合)などによっても大きく異なるため、骨材のアルカリシリカ反応性を的確に判定する試験法が望まれる。
 わが国では、コンクリート用骨材のアルカリシリカ反応性試験法として、JIS A 5308の化学法が一般的に用いられている。しかし、化学法で「無害でない」と判定されても、モルタルバー法では「無害」と判定される例も多いようであり、判定結果の信頼性には未だ間題がある。また、JIS A 5308のモルタルバー法は、信頼性は高いものの、試験体の保存状態や取扱いに起因するバラツキなどが認められ、改善すべき点もある。いずれにしても、アルカリシリカ反応には上述のような2つの過程が存在することから、骨材の有害反応性試験法としてはモルタルバー法(またはコンクリートバー法)を基礎とした試験法が望ましいと言える。これに対応する試験法がASTMやJISのモルタルバー法と言えるが、判定結果を得るまでに6ヶ月という長期間を要することから、モルタルバーによる迅速試験法の必要性が高まっている。
 モルタルバーを用いた迅速試験法として、オートクレーブ法によるものがいくつか提案され、JIS A 1804「コンクリート生産管理用試験方法−骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(迅速法)」として制定された。しかし、オートクレーブ法は高温度・高圧力下での試験のため、セメントと骨材の組み合わせによっては、通常の環境下では起こり得ない反応を生じる可能性もあり、より的確かつ簡便に判定できる試験法の検討が必要と思われる。
 本報告は、過飽和塩化ナトリウム水溶液中にモルタルバーを浸漬した場合の膨張特性について実験し、それに基づいた「モルタルバーによる骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(迅速法)」としての可能性について検討したものである。
5.むすび
 過飽和塩化ナトリウム水溶液浸漬によるモルタルバーの「アルカリシリカ反応性試験方法(迅速法)」の可能性について検討した結果をまとめると次のようなことが言える。
(1)過飽和塩水浸漬によるモルタルバーの膨張量について検討した結果、有害鉱物のキャラクターの違いや含有量などによって膨張形態は異なるが、有害反応性骨材は試験材齢初期において明確な膨張が確認できる。
(2)大きな膨張を示すものは、モルタルバーの質量が増加し、生成されたアルカリシリカゲルの吸水膨潤性が認められる。
(3)大きな膨張を示したモルタルバーは、内部に生じたひび割れのため、動弾性係数の明確な低下が認められる。
(4)上記の測定結果に基づいて、過飽和塩水浸漬によるモルタルバーの「アルカリシリカ反応性試験方法(迅速法)」のフローは図−4に示すようなものとなる。
(5)動弾性係数の低下率や吸水量の増加率による有害判定の基準は明確には示せなかった。
PDFファイル名 016-01-1181.pdf


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