種別 委員会報告
主題 融雪剤によるコンクリート構造物の劣化研究委員会報告
副題
筆頭著者 三浦尚(東北大学)
連名者1 外門正直(東北工業大学)
連名者2 川村満紀(金沢大学)
連名者3 関博(早稲田大学)
連名者4 原忠勝(日本大学)
連名者5
キーワード
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先頭ページ 29
末尾ページ 38
年度 1999
要旨 はじめに
我が国においては、粉塵公害の防止を目的としてスパイクタイヤの全面使用禁止が法制化されて以来、冬場の積雪寒冷地の道路における安全性確保のための融雪剤の使用量は年々増加している。
融雪剤の種類はいろいろあるが、性能や価格の点から我が国で一般的に使用されている融雪剤は塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどの塩化物がほとんどであり、これらは種々の作用でコンクリート構造物を劣化させる。
一方、我が国の融雪剤の使用量は欧米諸国に比べれば未だ少ないため、現時点ではコンクリート構造物の劣化の事例は少ないと思われているが、このまま毎年融雪剤の散布が繰り返されれば、その塩化物はコンクリート部材中に徐々に蓄積されて行き、ある限度を超えたときに一斉に劣化が発生するようになると考えられる。
塩化物が作用したために起こるコンクリート部材の劣化は、コンクリート表面の激しいスケーリング劣化として現れる凍害、アルカリ骨材反応の促進、コンクリート中の鉄筋の急速な腐食、などが主なものであるが、いずれもひとたび劣化が発生する段階になるともはやこれらの劣化を止めることは難しく、完全に元に戻すことは不可能である。従って、これらに対しては、未だ劣化が発生していない時点で劣化の発生を予測し、あらかじめ防止対策を講じておかなければ取り返しのつかない大変なことになる。
このようなことから、かつて土木学会コンクリート委員会では平成2年から5年までの間、凍結防止剤ワーキンググループ(主査 三浦尚)を構成して我が国におけるこの問題の現状に関する調査検討を行い、問題点を指摘した(例えば土木学会論文集1994−5)が、それ以来未だに十分な対策も行われて居らず、益々状態は悪化してきているように見受けられる。
そこで、コンクリート工学協会においてこの問題に関する研究委員会を設置し、我が国における融雪剤によるコンクリート構造物の劣化の現状を把握すると共に、この方面の専門家によって劣化についての知識をまとめ、このようなコンクリート構造物の劣化の発生を防ぐための対策を提言する事になった。
本委員会は1997年に設置され、2年間の活動の後、その成果を報告書にまとめた。そして、1999年11月5日に東京に於いて融雪剤によるコンクリート構造物の劣化に関するシンポジウムを開催し、その場で報告書を公表することにしている。
なお、本委員会で対象としている融雪剤はその使用目的から凍結防止剤と呼ばれることの方が多い。そしてこれらは本質的に同様の物であるため、本報告書では特に断らない限り融雪剤と凍結防止剤という両用語を区別せず使用している。
PDFファイル名 021-03-0004.pdf


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