種別 論文
主題 フレッシュコンクリートの構成則および降伏条件に関する研究
副題
筆頭著者 谷川恭雄(三重大学工学部)
連名者1 森博嗣(三重大学工学部)
連名者2 筒井一仁(名古屋市役所)
連名者3 黒川善幸(三重大学大学院)
連名者4  
連名者5  
キーワード
9
1
先頭ページ 115
末尾ページ 120
年度 1987
要旨 1.まえがき
フレッシュコンクリートの施工性能を合理的に評価するためには、従来経験や勘に支配されることの多かったコンクリート工事の分野に、レオロジーなどの理論的な概念を導入する必要がある。近年、フレッシュコンクリートをレオロジーの立場から論じた研究が数多く報告されるようになり、そのコンシステンシーをレオロジー定数を用いて定量的かつ統一的に評価することが可能になりつつある[1]。
しかし、フレッシュコンクリートのコンシステンシーを定量的に評価するための各種レオロジー定数が、現場におけるコンクリートの施工性能、いわゆるワーカビリチーの評価とどのような関係にあるのかという点については、依然として実験的な観点からの研究に依存しているのが現状である。フレッシュコンクリートの施工性能を理論によって予測しうる技術、すなわち施工設計法を開発・確立することは、この分野における当面の重要な検討課題の一つであるが、フレッシュコンクリートのレオロジー的研究のほとんどは、コンクリートのレオロジー定数に関する実験データの収集にウェイトが置かれており、流動解析技術に関する研究や、その基礎となる情報は非常に少ない。
筆者らは、現に粘塑性有限要素法を用いたフレッシュコンクリートの流動解析の一手法を提案し[2]、これまでに各種コンシステンシー試験、各種粘度計、管内流動および型枠内流動のシミュレーションに適用して、解析手法の妥当性を確認するとともに[3.4.]、より広範囲な条件に対応するため、解析手法の拡張を行ってきた[5]。これらのシミュレーションでは、フレッシュコンクリートを均質な連続体として扱い、その力学性状については理想的なビンガムモデルで表現されるものと仮定した。その理由としては、既往の研究報告の多くがフレッシュコンクリートの流動特性をビンガムモデルで表現できるとしていること[6]、さらに、各種粘度計を用いたレオロジー定数の測定データのほとんどがコンクリートをビンガムモデルと仮定して求められたものであること[7]などが挙げられる。しかし、ビンガムモデルが適用できるのは、比較的軟練りのフレッシュコンクリートおよびモルタルであり、硬練りの場合は、粉体または線状体(ここでは、粉粒体と呼ぶ)としての性質があらわれ、内部応力状態に依存しない一貫の降伏値をもつビンガムモデルの適用に無理が生じることが知られている[8]。粉粒体の崩れを表現できるモデルとして一般に知られているMohr・CouIombの降伏条件は、粘着力および内部まさつ角の2つのパラメータを用いることによって、応力状態に依存する降伏値を導入することができる。しかし、このモデルは、あくまで降伏条件のみを表現するものであり、降伏後の流動に関しては言及されていない。
本研究では、ビンガムモデルによる構成則に、Mohr・Coulombの降伏条件を導入し、フレッシュコンクリートおよびモルタルの広範囲な調合に適用できるレオロジーモデルを得るため、粘塑性と粉粒体の双方の性状を連続的に扱うことが可能な構成則および降伏条件を提案するとともに、提案モデルに関する若干の適用例を示す。

6.まとめ
本研究では、フレッシュコンクリートおよびモルタルの広範囲の調合に適用できるレオロジー解析モデルとして、ビンガムモデルによる構成則とMohr・Coulombの降伏条件を組み合わせたモデルを考案した。本報では、紙面の都合で若干の解析例しか示すことができなかったが、本提案モデルでは、応力状態に依存する降伏流動を扱うことができ、粗骨材などの影響を考慮したより正確な流動解析が可能になるものと思われる。
PDFファイル名 009-01-1021.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る